世界中の女性たちが憧れる高級ブランド「フェラガモ」。
イタリアの中心都市であるフィレンツェからクルマで1時間ほどのところに、そのフェラガモ一族が築いた夢の帝国、イル・ボッロがあります。
イル・ボッロは1039年に建てられた中世の城を中心とした広大な敷地を持った、いまでも中世の建築が残る貴重な村です。
とはいっても、古くから人が住んでいたわけではなく、サルヴァトーレ・フェラガモの息子であるフェルッチオ・フェラガモが土地を買い取り、11年をかけて修復をおこなったリゾート地。敷地全域がフェラガモ・ファミリーの所有するホテルといってもいいでしょう。
村には長期滞在型のヴィラが8棟、教会、レストラン、ジュエリーショップ、そしてもちろんシューズショップがあり、特注の靴を仕立ててもらうこともできます。
敷地内でゴルフや乗馬などのアクティビティーも用意され、ワイナリーでは貴重なトスカーナワインを堪能。特に村の名前を冠した「イル・ボッロ」というワインは絶品です。
これらすべて、フェラガモの名においておこなわれるという究極の贅沢体験ができるのです。
さて、サルヴァトーレ・フェラガモ本人は、もともと貧しい農家の生まれだったということを、ご存知でしょうか。
貧しい暮らしをしながらも幼少の頃から靴作りに没頭し、大量生産を否定して、ひたすら女性たちのために「美しく、かつ快適な靴」を追求し続けました。斬新なデザインと厳選された素材の使用により、日用品という領域を超え一種の芸術となったフェラガモの靴は、映画スターや王侯貴族に愛されるまでになりました。
そして現在、靴だけでなくハンドバッグ、アクセサリー、衣服、宝石、香水に至るまでのトータルブランドとして確固たる地位を確立したフェラガモ。サルヴァトーレ・フェラガモ生涯の夢は、女性を「頭のてっぺんからつま先まで飾り立てる」ことでした。愛するもの、美しいものへの執念が、こうして宝石箱のような理想郷をつくりあげたのです。
あなたは、愛する人のためにどれほどのことができますか？ 生涯を捧げるほどに、パートナーを愛することができるでしょうか？
サルヴァトーレが作り上げたこの夢の場所でその愛を誓うことができたなら、彼女もきっとその想いに応えてくれるはず。どんな財産にも変えられないとびきりの笑顔とともに。
(文・伊藤七ゑ)
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